■誰かがあなたに向けて 無自覚に放った言葉が、あたかも 「ホールインワン」 のように、ストンと 潜在意識に入ってしまい、 それが信念として 確立されてしまう、 そんなことが 往々にして起こります。 ■特に幼少期において、 大人から良くも悪くも無自覚に 投げかけられた一言が (その言葉を放った当人も、 放たれた側の人間にも自覚なく) ダイレクトにインストールされ、 「私はこういう人間である」 と自己規定されることが あるのです。 ■このメカニズムが良い方に進むと 最高です。 たとえば私(鮒谷)は 小学校1年生の頃だったか、 自宅でついたお餅を 食べ終わったあと 「お餅の歌」 というのをノートに 綴ったことがありました。 ■内容は 「お餅、お餅、美味しいなあ、 一つ食べたら、なくなったけど、 もう一つあるからいただきまーす」 みたいな たわいもないものでしたが、 この歌詞に節をつけて歌っていたら、 なんと両親から大絶賛(笑) ■今から考えたら、 なんということもない歌ですし、 親がただ、わが子可愛さに 褒めてくれただけだと分かりますが(笑) 当時はそのあまりの褒められ具合に、 子ども心に 「自分は天才なんじゃないか!?」 という思いが 芽生えたものでした。 ■それと同時期に、 もう一つ、強烈に 思い出として残っているのが、 小学校で『カエルの歌』の替え歌を 作るという授業があったときのこと。 そこで私の作った作品(?)が 栄えある一等賞に選ばれる、 という事件がありました。 ■クラス全員からのの、 満場一致での選出、 しかも、その作品を担任の先生が 絶賛してくださったということ、 ということも相まって、 以降、しばらくの間、 クラスの中でヒーローであったのですが、 こうした出来事もまた 「私は実は すごい男なんじゃなかろうか」 という妄想を育む肥料と なりました。 (特に「言葉を編む」という分野に おいて) ■その後、 歴史(戦国時代、ありがちですね)に 関心を持ちはじめ、 小学校3年生の頃、父親から そろそろ大人向けの本?も読めるかも、 ということで手渡されたのが、 池波正太郎の 『信長と秀吉と家康』でした。 ■今から考えても小学3年当時の 私(鮒谷)の読解力や知識からは、 これ以上の難易度の本であれば 難しいし、 とはいえ、 時代背景その他の基礎知識は 既に一定程度、頭の中にあったので、 比較的、平易に 書かれた本でもあるので、 その知識をとっかかりとしながら 読み進めたらそれなりに読める。 ■というよりも、 案外、面白く読み進められるし、 子ども時代は大人みたいに、 本は最初から最後まで 通して読まなければならない、 みたいな変な思い込みもないので、 面白いところだけ つまみ食いしていくと、 どんどん読めるように なっていくものなんですよね。 ■そこから池波正太郎の本に はまり込んでいくようになり、 急速に思春期に向かう坂を 登っている途上の私は、 小学四年生にして 『夜の戦士』 なんかに出てくる 濡れ場シーンを読んで、 小さなちんこを 勃起させたりしながらw だんだんと 「大人向けの本(小さな活字の本)」 にハマっていくように なりました。 ■もともと、 家庭内子ども教育の定番であろう、 読み聞かせ、からの、子供向け文学全集や 図鑑、年鑑と首っ引き、 の流れには うまく乗っていましたが、 『信長と秀吉と家康』との出会いに より、そこからスムーズに 「大人向けの本」 に入っていけたのは、 私(鮒谷)にとって僥倖でありました。 ■このあたりの時期について 振り返るたびに (その昔、旧ソ連にレフ・ヴィゴツキーと いう天才心理学者がいたのですが) まさにヴィゴツキーいうところの 「発達の最近接領域(ZPD)」 の概念を思い出すのです。 ■「発達の最近接領域(ZPD)」とは、 「自分一人でできることと、 できないこと」 の間にある、 適切に導かれ、 足場をかけられることによって、 一人でできる以上のところまで 登っていける、 そんな 「学びにおける最適水準の領域」 のこと。 ■この頃、まさに、 こうした学習プロセスが美しく 立ち上がっていたように思うのです。 逆に中学以降、 急激に落ちこぼれていったのは、 この流れから脱落したから、 とも言えそうです。 ■話が少しそれましたが、 こうして勧められた本を読み、 さらに父親を含む家族との対話を通して、 より一層、歴史に対する 興味・関心が引き出され、 理解を深めていくこととなりました。 ■もちろん父親が 「発達の最近接領域(ZPD)」 の概念を知って、先の本を紹介し、 さらには対話を重ねた、 などということは まったくないとは思います。 ■しかし私(鮒谷)にとっては、 結果として 「あのタイミングにおいては、 これしかなかったであろうと思われる本」 を選択し、手渡されたと 認識していますし、 さらにこのテーマ(戦国の世)での 家庭内で対話が頻繁になされた、 ということで、 以降の読書遍歴の土台が 築かれたことは間違いありません。 ■こうした出来事を契機として、 次に父親の書棚にあった 司馬遼太郎の全集の中から、 『関ヶ原』を引っ張り出して読み (これも小学4年生の頃)、 ※もちろん意味の分からないところは 超速で飛ばしながら、 ありがちですが、 戦闘シーンとかは熟読、 しかし正直、 心から震えたんですよね、 今までの読書体験とは まるで異質の興奮。 ■このあたりから司馬遼太郎ワールドに はまり込んでいくこととなります。 やがて小学校5年、6年時の 中学受験のお休みをはさみつつ、 中学進学後は 『新史 太閤記』『国盗り物語』 『城塞』『功名が辻』『播磨灘物語』、、 から始まって、 やがて幕末をテーマにした 『新選組血風録』『世に棲む日々』 『燃えよ剣』『竜馬がゆく』、、、 と手を伸ばしていきました。 そして『坂の上の雲』に到達。 ■なんといっても 中・高6年間の通学時間は 往復3時間半(!)ほどもあったので、 読書する時間には事欠かない (今と違ってスマホもない)ので、 分厚くて重たい (一冊読み通すのに1~2週間かかる くらいの大ボリューム) 司馬遼太郎全集と長い時間、 共に過ごすことになりました。 ■こんなことを書いていると、 中学受験に合格したあとの春休み、 たくさんの時間があるので 司馬遼太郎全集を読み耽っていたとき、 当時、小学生が手軽にエロ本を 入手できるような環境ではなかったので、 ちょっとした刺激にも 過敏に反応してしまったのか、 『国盗り物語』に出てくる濡れ場で 自慰行為をしたことや、 それゆえ中学時代、 いかにも男子校らしく 「司馬遼太郎で、ぶっこいた男」 という有り難くない称号を 頂戴していたことも、今、 記憶の底から 引きずり出されてきましたよw ※司馬先生、申し訳ございません、、、 ■閑話休題。 こうした幼少期から 中学・高校時代を経て、 「呼吸するように活字を読む」 習慣が身についたわけですが、 最初のきっかけは、 当時は理解していませんでしたが、 今になって振り返ると、 これはもう間違いなく、 両親と学校の先生から 「言葉を操る力」 について褒められたことでした。 ■でも、これは何度でも繰り返しますが、 『お餅の歌』も 『カエルの歌(の替え歌)』も、 いずれも今から顧みれば、 他愛もない、よくある、子どもの 思いつき程度のものに過ぎません。 (その証拠に、文部省主催の コンテストの賞とかには、まるで無縁) ■それゆえ、 両親も学校の先生も、 おそらくはその場の「ノリ」で、 褒めてくれていただけのことで、 今ではきっとそのことを 一切、覚えていないと思います。 (今度、聞いて見ようと思いますが、 きっとそうでしょう) ■でも、そんな一言、二言が 周囲の状況ともに記憶され、 「ホールインワン」 して、 それから数十年後の人生にまで とてつもない影響を及ぼしている (=こうして毎日、大量の文章を 書き続けている) のですから、 このメカニズムの力は侮れない。 ■私(鮒谷)にとって、文章の 読み書きという方面においては、 この仕組みが良い方向に 機能しましたが、 これと同様に、 そして今度は反対に、 言葉を発する側も無自覚に、 それを受ける側も無意識に、 ネガティブな信念が 埋め込まれてしまう、 ということも 十分に起こりうること。 ■たとえば一つの例ですが、 どこからどう見ても 「好感度高そうな男性」や 「愛らしい女性」なのに、 どういうわけか、 「私なんかが、、、」 が口癖で、 自信なさげで自尊心低めの人、 あなたの周りに いらっしゃらないでしょうか。 ひょっとしたら、 あなた自身がそうかもしれませんね。 今日も人生とビジネスを楽しみましょう!【今日のピークパフォーマンス方程式】 ■とくに幼少期から思春期にかけて、 大人からの不用意な一言で 根拠なきマイナスの信念が形成される、 ということがあるものだ。 ■それはある種のバグであり、 このバグを抱えたまま、 やれ、生きていくにあたっての OSがどうだ、アプリがどうだ、 といったところで、 その前段階にあるところの「BIOS」に 問題があれば、そこから先が起動しない。 ■根深い、自分自身に対する ネガティブな信念が、 ひょっとすると自身の人生のブレーキに なっているのかも、 と思う人はBIOSにバグが埋め込まれて いないか、改めて確認すべきだろう。
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6232号 司馬遼太郎で、ぶっこいた男
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