■自伝マニアの私としては、 今日から始まった TDK元会長の澤部肇さんの、 これからの連載はとても楽しみ。 ■どういうわけか昔から (それこそ20代半ばの頃から)、 大きな関心を持たずには いられなかったテーマの一つに 「老境を迎えたときの心持ち」 があります。 (だから『私の履歴書』が好きなのだと 今、これを書いていて気づきました。 登場するほとんどの方が70代か80代、 最近はゴーンさんとか 岡本綾子さんとか、 若い(といっても60代)の方が登場する ことも増えてきたように感じますが) ■好きが嵩じて、古書店で全集まで 手に入れてしまった『私の履歴書』も含め、 現役世代の 自伝(やインタビュー記事)よりも、 むしろ一線を退かれた方の それを好んで読んできたものです。 ■ただ、 どうも本音が吐露されていない (弱みの部分が告白されていない) ように感じられることも多く、 不満、とまではいわぬまでも、 知りたい、読みたいのは そこじゃないのだけれども、、、 とも思ってきました。 ■もちろん、 自伝やインタビュー等で、自らの 履歴を振り返る機会を得る人は、 昔から陽のあたる場所を 歩き続けた方が多く、 必然、過去の栄光を振り返り、 誇りたいことを誇りがちであり、 弱みを素直に認めることは難しいので あろうと想像いたします。 (私はいまだ、そうした年齢に 至っているわけではないので、 あくまで勝手な解釈ですが) ■しかしいずれ、 私も含めて皆、年老いていき、それは また逃れがたい運命でもあるわけで、 とするならば、 今の時点の私には知るよしもない 「老いを重ねることによってしか 感受されぬ、取り繕われていない、 率直なところの心情」 をどうしても知りたい、 と思ってしまうのも、また人情。 ■ある年代に至ったとき、 どんな心境になるのか、 その傾向やパターンについて 何十年も前から分かっていれば、 備えることも できるではありませんか。 ■そんな思いを持っている中で、 澤部さんが(下に引用する通り) 現在の心情を素直に認められ、 さらに告白するという勇気には、 偉そうな物言いに なってしまうかもしれませんが、 そのまま人としての強さを 感じさせられました。 ■起伏に富む人生を過ごしてこられ、 77歳という年齢を迎えられた今、 これから一ヶ月、 紙面において、 どんなことを語っていかれるのか 楽しみで仕方ありません。 (以下、一部引用※改行は筆者) ----------------------- ▼TDKの創業メンバーで3代目の社長を 務めた素野(その)福次郎さんは、 私が社長をしていた1998年、 体力が衰え、 相談役として会社に来るのをやめた 途端に食事がのどを通らなくなった。 運転手が気遣って、 当時日本橋の交差点にあった 会社の周りをぐるぐる回って 気持ちを落ち着かせていたそうだ。 ▼私も似たようなものかもしれない。 55年間会社にいて、最後は社長、 会長、相談役を務め、 今年の4月から私は TDKのなんでもなくなった。 すると、息苦しいのである。 病院に行くと、30年前のたばこが 原因だという診断であったが、 そればかりでないことは 自分でよく分かる。 ▼正直に言って、 いつしか77歳になり、社会的な立場が なくなっていくのも寂しいことだ。 次第に弱くなる 命の炎への執着であろうか。 俺はここにいるぞと、 大きな声を出したい気持ちがする。 それで気安い後輩たちに、 経営や仕事のアドバイスなどをして うるさがられているのだから 我ながら滑稽だ。 会社の周りをぐるぐる回っていただけの 素野さんのほうが立派である。 ▼最初はTDKがコンサートの スポンサーになったご縁で お目にかかれた世界的大スターの 方々との写真なども載せたいと思ったが、 やめた。 少年期の淡く懐かしい恋の記憶も、 そんなの日記に書けと言われた。 人の話を謙虚に聞いてみると、 どうも自分がかっこいいと 思うことは本当はそうではないらしい。 ▼ここは頑張って殻を破り、 かっこつけも妙な執着も排して 率直に自分の経験を書こうと思う。 ----------------------- (ここまで) 今日も人生とビジネスを楽しみましょう!【今日のピークパフォーマンス方程式】 ■一定の年齢を経られた方が 自らを振り返り記す自伝は、 瞬間風速の人の自伝よりも 趣深いものである。 ■人生の上り下りを経て至る境地は、 いまだその年齢に到達していない者に とっての、 大いなる道標ともなるだろう。 ■目の前の結果を求める 過剰な圧力に逆らうためにも、 率直な心情が告白なされている自伝を読む ことは人生の糧となるだろう。
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5925号 鮒谷が70代以降の方が記される自伝に惹かれる理由とは
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