■人生においては、事後的に 「あの本を読んでいたことが 思わぬところで役に立った」 そんなことが多々あるものです。 とくに多感な中高時代に読んだ本の うちの何冊かは、深いところで 【人生という場所に対する 基本的認識】 を形成してくれたように思います。 ■強調したい、一つの例として、 これまでにも 何度かご紹介したことがありますが ▼パール・バックの『大地』 ▼有吉佐和子の『紀の川』 ▼北杜夫の『楡家の人びと』 といった 時代とともに移り変わる、 親・子・孫の三世代に渡って描かれた小説、 は、 【人生を俯瞰して捉える習慣】 をもたらしてくれました。 ■中でも『大地』は、 私の人生そのものにも 大きな影響を与えた本。 これまで何度も繰り返し、 読み返してきました。 ここで詳しい内容に 触れることはいたしませんが、 興味があれば調べてみて下さい& 長編となりますが、ぜひご一読下さい。 ■当時は、この世に生を享け、 「たかが十数年」 生きていただけなので、 「自分の見てきた世界 =世界そのもの」 として捉えてきたわけですが、 こうした書物に接することによって、 日頃から意識する時間軸が 「人の一生(死ぬまで)」 さらには 「次の世代、次の次の世代」 といったところまで 引き伸ばされました。 ■また、こうした物語を通じて、 長い目で人生を眺めれば、晴れの日も あれば、曇りの日も、雨の日もあるし、 ときに土砂降りになることもある、 さらに天候は突然、変わるもの、 と教わったように思います。 つまり 「今の環境が永続することなど 決してない」 と理解しました。 ■生きていく上での前提を 「続かない」 というところに置くのか、 「永続するに違いない、 永続してもらわなければ困る」 といった意識で生きるのかによって、 日常の振る舞いも、 一朝、ことが起きたときの対応も、 まるで異なってくるものです。 ■上述の本を含めた多くの書籍に触れることで、 人生における真実は 「諸行無常」 であると(帰納的に)理解し、 「すべてのものは続かない (たとえ今、恵まれている状況にあったと しても、それはかりそめに過ぎない)」 そんな心持ちで生きるようになったので、 たいていのことが起きても驚かなくなりました。 ■むしろ 「人生とは、そういうものであり、 そういうところが人生」 という諦念の中を生きることが できているように思います。 こんな話を読まされると、 なんだか辛気くさいというのか、 枯れているというのか、 そんな気持ちになる人もあるかも しれませんね。 ■ただ、私(鮒谷)としてはむしろ、 「いろんなことが起きても、 いちいち心が動かされない」 状態こそが、 「質の高い人生であり、生活」 であると認識し、その状態を 維持することに重きをおいているので、 こうした世界観に生きるのは 至って心地がよいのです。 ■基本的に 【悲観主義者として世界を捉え、 恵まれた環境は僥倖に過ぎない】 という前提で生きているからこそ、 「良い状態のときには、 素直にありがたいなあと喜べる」 ようなので、 これまでもそうですが、 これからも、 こうした心的態度を保持し続けよう、 そんな風に考えているわけです。 ■ここまでに記してきたことは、 単なる私(鮒谷)個人の、 生きる姿勢であり、 これが正しいとか、 このようにして生きるべし、 なんて偉そうなことを語るつもりも ありません。 ただ、一つの参考事例(?)として、 私(鮒谷)自身の内面を 披露させていただいた、 ということで。 ■とはいえ、 あくまで仮説ではありますが、 こうした精神を作り上げられれば 「たとえ順風満帆であっても、 一寸先は闇、と思うからこそ、 調子に乗ることもなく、 重心低く、毎日を生きられる」 であろうし、 「たとえ世間一般には『不意打ち』と思われる であろう不幸な出来事が起きても、 それは『不意打ち』ではなく、 そういうこともあるよなあ、 と柳に風、状態で流せる、 あるいは受け容れられるようになる (得意淡然、失意泰然、の境地に 入ることができる)」 のではないかと思っているのです。 ■そうした精神を涵養するために 役立つのが、特に 【長い時間軸で描かれた、多様な物語】 なのではないでしょうか。 とするならば、 こうした書籍に(できれば若いうちに) 触れておくことは、 【人生における基本的な修養】 につながるように思われます。 ■あるいは、 こうした本をこれから読もうかな、 ということであれば、 今がこれからの人生において 「一番、若い日」 なのですから、 将来のために 【自身の人生観を固めるきっかけ】 として、こうした書物に触れるのは、 【一見、非効率のように見えて、 長い人生においては極めて合理的】 といえるのではないかと思います。 ※ちなみに、実際には、 良く出来た小説は読むこと自体が愉悦なので、 合理性とか全く関係ないのですが、 ときに、読書に過度の合理性を求める方が あるので、そうした考えを持つ方に向けて、 【一見、非効率のように見えて、 長い人生においては極めて合理的】 と記してみた次第(念のため、補足)。 今日も人生とビジネスを楽しみましょう!【今日のピークパフォーマンス方程式】 ■長期的な時間軸で描かれた書物に触れると 自ずから視野も長期視点となる。 ■そうすると目先のことに一喜一憂する ことが少なくなり、 結果として平穏な精神の状態で生きられる ようになったり、 窮地に陥ってもパニックにならず、一呼吸 置いてからの対応もできるようになり、 さらには「継続の力」を信じられるように なるから、長期逓増の人生を歩める、 ようになるのではないだろうか。
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5604号 「長い時間軸で描かれた、多様な物語」に触れるべし
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