■作家の阿刀田高さんが 文藝春秋(2019年1月号)に 「高校国語から文学の文字が消える」 というタイトルで、寄稿されている文章を 読みました。 ■その中に 「心に残る一節」 があったので、ご紹介。 (ここから) --------------------------------- 私はもともと、 へそ曲がりのところもありましてね。 「生きる力」とは本当にそういうものだろうかと、 疑いの目を持っていました。 私にとって生きる力とは、 「孤独な状態でも 豊かに生活をおくることができる能力」 です。 ピアノが弾けることでもいい、 絵が描けることでもいい、 もちろん本を読むことでもいい。 金銭的価値を生むのではなく、 自分の心を自ら耕すことのできる力です。 (阿刀田高 「高校国語から文学の文字が消える」 文藝春秋2019年1月号より) --------------------------------- (ここまで) この文章に触れたことを契機として考えた、 以下、私なりの 「生きる力」 についての勝手な解釈を試みたいと思います。 ■私(鮒谷)にとっての「生きる力」も、 まさに 「孤独な状態でも 豊かに生活をおくることができる能力」 と近いイメージがあります。 生きているといろんな荒波に 揉まれることとなるわけですが、 (次々に襲い掛かってくる荒波から 逃れ切ることはできません) どうせ逃れ得ぬものであるならば 【それらの辛さ、苦しさ、やるせなさ、孤独を 飲み込み、自らの糧にできる精神的な強靭さ】 を身につけることこそが、 たくましく生きていくための力となるのでは、 と考えています。 ■そして、こうした精神的態度は 「いざ、そのときが訪れてから 整えようとしても手遅れ」 であり、 それゆえ日常生活において、 「どんな外的状況が生じても、 心の振幅を最小限に留める」 ためのトレーニングが必要なのでは ないかと思うのです。 ■日常生活において、 私たちは大なり小なり、つねに心を乱される 出来事に晒されるわけですが、 それらを可能な限り、 リアルタイムで調整を加え、 出来事をプラスに解釈し(咀嚼し)、 消化していく、 そんな精神的強靭性を身につけたいもの。 ■そのトレーニングを怠り、 なにがあっても社会のせい、政府のせい、 彼のせい、彼女のせい、、、 と他に責を帰する (=荒波が悪いと解釈する) ことを習慣化させてしまうと、 本当に大きな困難が訪れたとき、 自分の中で消化しきれなくなり、 精神的な負荷として心にのしかかり、 支えきれずにポキっと折れてしまう、 ことになるのかもしれません。 ■そうならぬよう鍛えておくべき 精神的強靭性とは、 「精神的柔軟性」 と言い換えても良いでしょう。 どんな大変な状況に見舞われても、 「柳に風」と受け流せるだけの精神性、 これを身につけておきたいもの。 ■できるならば、 傍から見ていると、とても 「日常の細々としたこと(些事)」 に見えない重大事に直面していてすら、 自身の心の中において 「日常の細々としたこと(些事)」 であると飄々と処理(変換)し、 次の瞬間には、 「本来、取り組むべき、 もっと大切なこと」 に集中できる心的状況をいつでも 作り出せるようになりたい、 と私(鮒谷)は思っています。 ■この話に関連して、昨日もご紹介した 『野村メモ』において、 野村克也氏が以下のように述べている 箇所がありました。 (ここから) ----------------------------------- 好不調の波をたくさん経験した人ほど、 次第にその好不調の波が小さくなり、 また不調の波から抜け出す時間も早くなる。 日ごろから自分の好不調を メモするようにしておけば、 それが不調を脱するためのヒントと なるはずである。 二流と一流の差は、もしかしたらそんなところに 隠されているのかもしれない。 ----------------------------------- (ここから) ■また、この少し前に ----------------------------------- スランプと言っていいのは二流だけ。 これは私の持論である。 一流の人は決して 「私はスランプだ」などとは言わない。 ----------------------------------- とも記されているのですが、 自分の不調を スランプのせいにするのではなく、 スランプを可能な限り早く、 処理するための状況解釈、 ならびに方法論確立のプロセス、 を自分の中に打ち立てていれば (すなわち「精神的柔軟性」を 身につけていけば) 世の中はどんどん生きやすく、 住みやすいところになるはず、 と考えています。 ■幸・不幸は外部にあるのではなく、 (自分の)内側からもたらされる、 という風に理解して、 その認識に見合ったトレーニングをすることが 「一見、大変なように見えて、 長期的に精神的平穏を手に入れる道」 なのではないでしょうか。 ■そのための 「状況解釈装置のバージョンアップ」 に最適なトレーニングが、 【日記を書くこと (その場その場において、最良の解釈を 生み出す訓練となる)】 です。 今日は詳しくは記しませんが。 今日も人生とビジネスを楽しみましょう!【今日のピークパフォーマンス方程式】 ■「生きる力」とは、 どんな状況にあっても 精神的豊かさを感じられる解釈力、 といって良いのではないか。 ■そんな精神的柔軟性は、平時の トレーニングからしか生まれない。 ■状況解釈装置のバージョンアップには、 リアルタイムに最適な解釈を選択し、 さらには創造する、 「日記(時々刻々の記)」を記し続ける トレーニングが最も効果的。
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5582号 ノムさん曰く「スランプと言っていいのは二流だけ」
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