毎日20万人が読んでいるビジネスコラム 平成進化論

日本最大級・毎日20万人が読んでいるビジネスメルマガ
「平成進化論」のバックナンバーをご紹介しています。

メールマガジン「見本」はこちら

5538号 ときに「快刀乱麻を断つ解答」よりも「心に寄り添う共感」を


■いつも楽しみに読んでいる、
 日経新聞(夕刊)の日替わりコラムがあります。


 2018年10月31日(水)の
 同紙夕刊のコラム「プロムナード」に、

 俳人の神野紗希さんの

 「求む、共感力」

 と題する、以下の文章が出ていました。



■「共感」(と少しの反省)を覚えたので、
 ご紹介。


 (ここから)
 ---------------------------------


 仕事の知人Kさんは、どんな困難もあきらめず、
 粘り強く解決へと導く、頼りがいのある人だ。

 しかし、解決への意志が強すぎて、
 会話が成り立たないこともしばしば。


 たとえば育児の愚痴をこぼしたときのこと。


 「いやあ、ずっと子供を抱いていると、
  肩凝っちゃって」

 「じゃあ、筋肉つけよう!」

 「朝もね、早く起こされて、寝不足なんだ」

 「昼寝するといいよ」

 「息子の夕飯や風呂や寝かしつけしてたら、
  自分のごはん作ってる時間がないんだよね」

 「冷凍うどん常備だね」


 いやあ、見事にあざやかな解決策である。

 しかし、なんだろう、この胸のもやもやは。


 こうも瞬時に解決策を示されると、

 私が筋トレや昼寝を実行できていないが
 ゆえに今の大変さがあり、

 私の愚痴は私自身の至らなさのせい、
 ということになる。


 それもまあ真実なのだが、
 たぶんあのときの私は、できればひとこと

 「大変なんだ」
 「頑張ってるね」

 と共感を示してほしかったのだ。


 我ながら面倒くさいやつだと思うが、

 ときには解決策より、
 共感に救われることもある。


 ある俳句のパーティー。

 たくさんのお弟子さんに愛される俳人Tさんと
 並んでいると、人々が次から次に挨拶に来る。


 「先生、〇〇です。
  今日は鹿児島からやってきました」

 「まあ、それは大変でございましたわねえ」

 「俳句はなかなか難しいです」

 「そうよね、難しいわよねえ。
  でもあなた頑張ってるわよ」

 「はい、俳句は楽しいです」

 「そうなのよ、楽しいのよ」

 「どうか先生、お元気で」

 「あなたもどうかお元気でね」


 共感をベースにしたオウム返しの話術だが、
 脇で聞いていて、これがなんとも心地よい。

 なにより会話を終えた人の表情が、
 満足げで明るいのである。


 おそらく、信頼する師匠に共感を示されることで、
 理解してもらった喜びが生まれるのだろう。

 そう、共感力は、人の自己肯定感を高め、
 幸せにするのだ。


 ---------------------------------
 (ここまで)


 これを読んで「共感」するとともに、
 いたく反省させられもいたしました。



■コンサルティング、

 などという仕事を行っていると、
 どうしても

 「お客さまにズバッと明快な解決策を
  提供しなければ、

  お役に立てたとはいえない」

 という信念に凝り固まりがち。



■確かにそうした側面もあるし、
 もちろん大切なことではありますが、

 同時に

 お客さまの置かれた状況を
 深く理解せず、またしようともせず、


 「はいはい、なるほどですね」

 くらいの軽い感じで中途半端に聞いて、
 共感も不完全、


 そんな中で、客観的には正解に見える

 【快刀乱麻を断つ解答】

 をお渡ししたところで、

 それが100%、
 お客さまの喜びや満足につながるのか、

 そんな反省をさせられることとなりました。



■代価を頂戴して、
 コンサルという仕事を行っている以上、

 もちろん、

 「ただただ共感する」

 というだけでは済まされないところも
 ありますが、


 同時に、

 【お客さまに共感を寄せることなく、適切と
  思われる解決策をお渡ししたからといって、

  それが顧客の求めていたもので
  あったのかどうかは、別問題】

 ということになりそうです。



■神野さん言われるところの


 ----------------------------------------

 いやあ、見事にあざやかな解決策である。

 しかし、なんだろう、この胸のもやもやは。

 ----------------------------------------


 という思いを残されぬよう、

 最大限の共感、共鳴の姿勢を
 追求することが大事ですね。



■その上で、

 然るべき代価を請求している専門家の
 立場からすると、


 とはいえ、その状況に対して、

 適切だと思われるソリューションを
 提示できなければ、

 「一時の気休めや慰めや救いの提供」

 にしかならない可能性が残るのも、
 また真実。


 それは一つの価値ですが、
 それだけでは不完全なこともありそうです。



■安くない金額の請求が発生している以上、
 ビジネスの世界においては、

 安易な共感に留まっては、
 プロフェッショナル失格である、

 とも言えるので、


 共感を寄せると同時に、専門知は専門知として、
 きっちりと提供しなければならないのは、

 いうまでもありません。



■とはいえ、

 「専門家」と名のつく仕事に
 携わっている人は、

 ともすれば、前者、すなわち、

 「理論、理屈一点張り」

 になりがちなので、


 そちらに偏り過ぎぬよう、
 特に意識して

 【一個の人間同士として、寄り添い、
  付き合うための想像力と会話力(=共感力)】

 も身につける必要がある、
 ということになりそうですね。



■私(鮒谷)自身の反省と自戒を込めつつ、

 心揺さぶられ、素晴らしいなと思い、
 感銘を受けた神野紗希さんの文章を、

 ご紹介させて頂きました。


 今日も人生とビジネスを楽しみましょう!


 【今日のピークパフォーマンス方程式】   ■ときに    「快刀乱麻を断つ解答」    よりも    「心に寄り添う共感」    が求められることもある。   ■とはいえ、専門知の提供を生業とする者に    は、共感だけでは済まされぬこともある。   ■「共感を寄せる」ことを大前提としつつ、    同時に適切なソリューションの提供を、    これが今の世に求められる専門家像、と    言えるのではないだろうか。    ともすれば、専門知さえ伝えればよい、と    いう風潮あるからこそ、留意したいこと。

カテゴリ:



※現在、20万1602名が購読中。