■今日(2月13日)は私(鮒谷)が大阪から単身、 上京してきて丸10年の記念日です。 2002年、当時勤務していたアメリカの通信会社、 ワールドコム社が負債総額410億ドル(当時のレートで約4兆7000億円) という大規模な経営破綻を起こしました。 (のちにリーマン・ブラザーズに抜かれるまで アメリカ史上最大の経営破綻でした) ■ビジネス人生の駆け出しだった私は、突然の予期せぬ乱気流に 巻き込まれ、翻弄され、 もろもろの残務処理を終えた2002年の12月31日をもって失職、 新年早々、路頭に迷うこととなったのです。 ■ご近所さんの目もあるので、スーツを着て、 毎朝出勤しているフリをして外に出ては、京都まで足を伸ばし、 古い町並みを散策しながらこれからの人生、どのように デザインしていこうかと自問自答を繰り返していたことが 昨日のことのように思い起こされます。 (漫画みたいな話ですが、日常的にご近所付き合いのある町で 生きていると、突然失職してもほんとに何事もないフリをして、 毎日外出せざるを得なくなるものです) ■京の街を歩きながら考えに考えましたが、 「このまま、ここでくすぶっていてもラチがあかん。 東京に出て一旗揚げよう」 と決意が固まり、上京してきたのが2003年の2月13日 (ちょうど10年前の今日)だったのです。 ■この日、わずかな荷物とともに、 新大塚のおよそ20平方メートルの小汚い(そして安い) ワンルームマンションに移り住みました。 バレンタインデーの前日ということもあってか、 街は賑やかでしたが、 そんな中、私は近所のスーパーにカーテンを買いに行ったり、 身の回りの物を取り揃えたりしながら、 学生時代以来久しぶりの東京生活が始めることと なったのです。 ■しばらくの間、事業計画を練ったり、大勢の人と会ったりして、 起業準備をしていましたが、転機となったのは2003年6月30日。 「楽天日記」という日記サイトで日々の活動を外に向けて 発信することにした日です。 これが私の人生を大きく変えるきっかけとなりました。 (なにがきっかけとなって人生が変わるか、 本当にわからないものです) ■日記を書く → 他の人の日記を見る → 経営者や人が集まっている場を主宰されている等、 興味のある人に連絡入れる → 会った人について日記で書く → 感想やお礼をいわれる → また会いましょう!となる といったサイクルを通して、たくさんの方とのご縁が生まれ、 応援してくれる人もたくさん現れ、 「場の力」「磁力」のようなものも発生し、 それはやがて同年9月のメルマガ(平成進化論)発行へと つながっていきました。 ■このようにして生まれた自分メディア(ならびに日記サイト)を 核として最初は少人数のランチ会、会食会といったことを始め、 数カ月後には100人規模のセミナーを定期的に 開催できるようになっていました。 けれども収益はせいぜい月に数十万円。 ■もう一つ、柱が欲しい、と思い、 メールマガジンに広告を受け付け始めたところが大当たり。 初月度売り上げ15万(一人でやってたので丸々利益)、 翌月50万、次の月、80万、さらに120万、150万、 と年率ならぬ昨月対比で数十%増(!)という 驚異的な成長を遂げていきました。 ■倍々ゲームで売上が増え、1年後には毎月500万、600万円の 利益が出るようになっていました。 さらにしばらくすると利益(売り上げじゃないですよ)が 1000万円を超える月も出てくるようになりました。 起業1年半ほどして、 「個人の独立、起業、中小企業の経営戦略」 といったテーマで3日間30万円のセミナーを開催したら、 メール数通送っただけ40人がお集まり下さいました。 (1000万円くらい利益が出たかと思います) ■当時はめちゃくちゃ働いていましたし、 睡眠時間を極限まで削っても追いつかず、 業務にさまざまな支障をきたすようになり、 採用活動をしようとするも、面接する時間もとれず、 といった状況でした。 ■そんな中、さらなる業容拡大を目指し、 ネットで事業展開している法人をクライントとする、 コンサルティング&広告代理店を全額出資して立ち上げました。 これが再びバカ当たり。 広告代理店を設立して垂直立ち上がりで、 あっという間に数億の売り上げが立つようになり、 しかしながら事業に携わるスタッフは私とパートナー1名と 在宅スタッフ1名で、しかもオフィスはなし! という陣容でしたが、マーケティング、営業、実務等を 完全分業制で行い、これ以上ないくらい業務効率を高めることで、 毎月相当額の利益が出るようになりました。 (広告代理店ではありましたが、特別なビジネスモデルで 利幅の高いビジネスであったこともあり、 パートナーには毎月200万円の報酬+賃料40万円の サービスアパートメント、月額数十万円の接待交際費を 認めていましたが、それでもかなりの利益が残りました) ■この前後、フォーカス(写真週刊誌)に、 「ポストホリエモン」特集として私一人が3ページぶち抜きで、 紹介されたこともありました。(凄い反響でした) 正直、この頃は 「お金を使っても使っても勝手に増えていく」 という、なかなかできない貴重な体験を させていただきました。 ■上げ潮相場だった株式投資でも大きな利益を上げ、 調子に乗って、さらにセミナー会社やコンサル会社なども 設立し、 上場企業を始めとするいくつかの会社の顧問となったり、 上がってくる利益を数多くのベンチャー企業に投資する ようにもなりました。 そして立ち上げた広告代理店を某上場企業に営業譲渡。 ここらあたりがリーマン・ショック前の出来事です。 ■その後、これはまた機会があれば書きたいと思いますが、 思うところあって、 ビジネスから少し距離を置いて、 自分の人生を客観的に捉えたい、 俯瞰し、あるいは相対化して眺めてみたい、 という欲求が頭をもたげてきました。 ■そのための活動として年10回くらいの海外視察、 1年間の大学(正確には日本一小さな私塾?)通い、 ※詳しく知りたい方は中谷巌先生の 『「資本主義以後」を生きるための教養書』 という本を御覧ください。 2年間をかけてのドラッカー全集、論文の読破、あるいは 昭和31年から連載されている日経新聞「私の履歴書」全集を 求め通読(現在進行形)、 その他、あえてビジネス書以外の本を中心とした読書、 あるいは教養を身につけたいと思い、 合宿形式で古今東西の知と格闘するプログラムに参加、 ※詳しく知りたい方はアスペン研究所のサイト http://www.aspeninstitute.jp/ を御覧ください。 などといったことを行なってまいりました。 ■同時に私の公私にわたる先生である 弁護士の高井伸夫先生の付き人、私設秘書(?)を行うようにも なりました。 勿論一銭のお金も頂戴しておりません。 「趣味は田中角栄」を公言して憚らなかったのは故・二階堂進氏で ありますが、 その言い回しを借りるなら、私の趣味は「高井伸夫」であり、 一挙手一投足から学ばせていただきたいと思っていたから、 お申し出をいただいたとき、考えるまでもなく即答で、 「ぜひ、よろしくおねがいいたします!」 と申し上げたものでした。 ■以来、国内・国外出張や会食の場に同行、同席させて頂き、 (メルマガではほとんど書けない方ばかりでしたが) 政治家、大使、公使を始めとする外交官、 法曹界の幹部(検事、弁護士)、 一部上場企業を始めとする大手企業の社長、役員、 マスコミ関係者、言論人、芸術家、歌手、ミス日本(!)、 数多くのベンチャー社長、著名なコンサルタントなどなど、 たくさんの方とのご縁を頂いたもので、 自分の住んでいる世界の狭さをはっきりと自覚させられた、 一生の財産となる素晴らしい経験でありました。 ■そんな風にあえてビジネスから離れた活動を積極的に行い、 ついに昨年、思想、哲学、教育(教育哲学)の分野を より深く学びたいとの思いが高じて、 一年間かけて大学院入試を準備するに至りました。 合格すれば学びに没入する学生生活を送ろうと 思っておりましたが、結果としては、 東京大学、京都大学いずれも論述試験に合格したものの、 面接で落ちました。 (面接の際、両大学の先生方から大学院は勉強する所ではなく、 研究するところだ、といわれました。 そもそもビジネスばかりやってきたので、大学院がどういう ところか、私自身、きちんと理解していなかったようです) ■こんなふうにしてリーマン・ショック以降、 4、5年の間、ビジネスの世界から大きく遠ざかっておりました。 昨年の秋、学術の世界への門戸は(いったん)閉ざされましたが、 それを契機として、改めて久しぶりの自問自答を繰り返すうちに、 大げさに言えば 「自分の使命」 のようなものを深く考えるようになってきたのです。 ■それは 「変わりたいけれども、変われない。 そんな人に対して変わるためのお手伝い、触媒となりたい」 というものでした。 もともと私は、入学者のうち半数が東大、京大に進学し、 (東大、京大に加え)旧帝大や国公立医学部を含めると 8割ほどがそういった進路に進む中高一貫の進学校に 中学受験で入学しましたが、 中学一年の一学期中間テストで真ん中ほどの成績を 残したのを頂点として、 そこから右肩下がりに下がっていき、高校卒業時には216人の 同級生の中で、下から数番目という状態になっていました。 ■大学時代も全く勉強せず、学校にもほとんど行かず、留年。 社会人になってからも、営業職として働きましたが、 営業成績は低迷につぐ低迷。 期待される成績を残すこともできず、たまの休日には パソコンゲームをやったり、小説を読んだりして、常に 「このままいくと自分の人生はどうなるのだろう」 という敗北の恐怖、落伍の不安を抱えながらも、 長年にわたって 「臭いものに蓋」 「(直視すべきものを)見て見ぬふり」 「敵前逃亡」 し続けてきたわけです。 ■そんなあるとき、 「このままいけば大変なことになる」 と本気で焦燥感を覚える出来事がありました。 それを契機として猛烈に勉強をはじめ、 行動を開始することになりました。 (そんな活動のまっただ中にあったとき、 勤務先が倒産してしまったのです) ■この機会を最大・最高・絶好の二度とない好機として、 起死回生、乾坤一擲の大勝負をかけるために上京してきたのが、 まさに「十年前の今日」でありました。 振り返ってみると、そのときから10年の間、 変わらずやってきたことはまさに、 「変わりたいけれども、変われない。 そんな人(=私)が変われるようになるためには どうすればいいのか」 というテーマについて、自身を実験台としながら、 自分独自の教科書を編纂するようなつもりで、 言葉を紡ぎ続けることでした。 ■この思い一つで日刊発信しつづけてきたメルマガは すでに発行号数として3400日を超え、 あと少しでまる10年(3650日)を迎えます。 このような軌跡を経ながら、 自分なりに自身を作り替えてきましたが、 「そんな面倒なことを考えなくても、うまくやっていける人 (=天才肌の人、野球界では長嶋茂雄みたいな人)」 に対しては、 おそらく私がお役に立てることはないでしょう。 ■ただ、私と同じように、 「どうしたら、この不甲斐ない自分自身を 変えることができるのか」 と真剣に悩まれている方には、 必ず何かお手伝いできるところがあるだろう、 そんな風に思うようになったのです。 (そしてそれは社会からも必要とされていることではないか、と) ■そんな思い、テーマを軸として、これからの10年を 生きていく決意を新たにしているところです。 私自身、あれから10年が経過し、果たして求めていたような 世界に出られているのかというと甚だ怪しく、 「あれ、こんなはずだったっけ (もっと、どうにかできていたはず)」 というのが正直なところでもあります。 ■とはいえ、 それでもやはり(社会人として不適合一歩手前の状態だった) 失業者が、 10年の間、試行錯誤を繰り返しながら この程度のところまでは人生を作り替えられたという事実は、 ささやかながらも自分の自信、誇りとなりましたし、 それ自体が私にとって大きな財産ともなっています。 ■これからの10年がどのような展開を見せるのか分かりませんが、 過去10年で得てきたもの、培ってきたものを いよいよ本格的に世の中に問うていこう、 そんな新しい挑戦をしていく決意と気概をもって 臨むつもりです。 よろしければこれからも引き続き、温かい応援、ご協力、 ご助力をいただけましたら嬉しく、有難くおもいます。 長文、お読み下さり、ありがとうございました。 今後共なにとぞよろしくおねがいいたします。 鮒谷周史 拝 ⇒ フェイスブックにもアップしました。 https://www.facebook.com/heiseishinkaron 今日も人生とビジネスを楽しみましょう!【今日のピークパフォーマンス方程式】 ■向こう10年のことを想像すれば、長いように感じるが、 過ぎ去ってしまえば案外あっという間。 ■10年(3650日)あれば、結構なことができるもの。 ■そんなことを考えながら、一日一日、堅実に、着実に、 積み重ねながら生きていきていきたいもの。
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3441号 鮒谷周史の上京10年物語
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