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2214号 よくて性格温順、悪ければ暗愚の君主


■先日、学校で講義を聴かせていただいた

 東京大学大学院 総合文化研究所教授の
 山内昌之先生に、

 このような著作があります。


 【今日のお薦め本 帝国のシルクロード -新しい世界史のために】

                       山内 昌之 (著)


 シルクロードにまつわるさまざまな出来事を語った
 エッセイ集のような体裁の本です。


■その一項に「王様と読書──君主の操縦法」という
 タイトルのものがあり、

 その中に

 「君主には書物を読ませるな」

 という小見出しがあります。

 この部分が非常に面白い、というか、考えさせられたので
 ご紹介します。


■まず書かれていることはこうです。


 「日本でも宇多天皇は、唐の政治的な訓戒の書
  『群書治要』をしきりに群臣にすすめ、
  徳川秀忠などは『吾妻鏡』を愛読したという」


 このように、為政者が本から学んでいたことが
 述べられています。


■ところが、そのあとでこんなことが記されます。


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 アッバース朝17代のカリフ、ムクタフィーが
 読書のために本を求めたときのことだ。

 宰相は、側近が本を届ける前に、自分に必ず見せるように
 命じた。

 持ってきた本を見て宰相は仰天した。


 そのなかには、なんと王者らの争いや
 宰相らの逸話をはじめ、

 富を引き出す工夫に関する知識など、
 政治の実務にかかわる内容が多かったからだ。


 宰相は、

 カリフが単純に楽しみ、
 宰相以外のものには目もくれずに夢中になる本を
 持参するように申しつけたはず、

 と不興を隠さず叱りとばした。


 「ところがどうだ、お前たちときたら

  わざわざカリフに宰相たちの操り方を教え、
  財を生み出す道を見つけさせ、

  どうすれば国が栄えたり、荒れ果てたりするか
  教えるような書物を持ってくる始末だ。

  このような書物はさっさと持ち去り、

  代わりにカリフを楽しませる物語や、カリフを喜ばせる
  詩などが中身となっている本を持ってまいれ」


                    (引用ここまで)
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■このあとで山内先生は、


 「たしかに、これは臣下の権力温存の観点からみると
  もっともな話であった」


 と感想を述べてから、
 つぎのように結論されています。


 「幼少の主君を書物から遠ざけ、
  教養や批判精神とは無縁の人間にしてしまえば、

  よくて性格温順、
  悪ければ暗愚の君主になってしまう。

  それほどに書物の効用は大きかったのである。」


■これは、なにも君主に限った話ではないのでしょう。


 知識社会においては、

 仕事に就いている人全員が、成果を上げるための、
 いわば

 「万人のための帝王学」

 を身につけなければならないわけで、


 我々もまた、

 「暗愚の君主」

 とならぬよう、日常から良書に親しむ必要が
 あるのでしょう。


■このように、書物の効用、重要性は
 昔からいわれてきたことですが、

 知識社会の担い手として、
 書籍を通した勉強も、継続的におこなっていきたいと


 【今日のお薦め本 帝国のシルクロード -新しい世界史のために】

                       山内 昌之 (著)


 この本を通して、改めて考えた次第です。


 【今日のピークパフォーマンス方程式】                ■歴史上においては、臣下が君主に書物を与えないようにした      例がしばしばみられる。読んでも娯楽の本だけでは、君主は      「暗愚」にならざるを得ない。                  ■私たちもしかり。知識社会に生きる我々も、成果を上げる       ための帝王学を学ぶべく、良書に親しむ習慣を持つべきで       あろう。                            ■書物から遠ざかれば、私たちもまた「よくて性格温順、        悪ければ暗愚の君主」となってしまうのかもしれない。    

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