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2022号 腐らないリンゴを育てる


■昨日からご紹介している、リンゴ農家の
 木村秋則さん。

 この方は、まさに「リンゴ馬鹿」と呼ぶにふさわしい人。

 (いうまでもなく、褒め言葉として用いています)


■100%不可能といわれた「無農薬リンゴ」の栽培に挑み、
 成功するまでのドラマが、この本に描かれています。


 【今日のお勧め本  奇跡のリンゴ
                         ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録】

           石川 拓治 (著), NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班 
                                                               幻冬舎


■サブタイトルにありますように、

 「『絶対不可能』を覆した農家・木村秋則の記録」

 が、この本には綴られています。

 たとえば、義父の郵便局の退職金も使い果たしたとか、

 娘には短い鉛筆2本をセロテープでつなぎ合わせて
 使わせたとか、

 しまいにはリンゴ畑で幻覚を見るなど、
 昨日、いくつか印象的なエピソードをお話ししたのですが、

 こんなこともあったそうです。


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 妻の美千子は、夜中に布団を抜け出す木村の姿を
 見るようになった。


 夢遊病にでもかかったように玄関を降り、庭先にある
 納屋に入っていく。

 がらんとした納屋には、収穫したリンゴを詰める
 木製の箱が几帳面に積み上げられているだけだ。

 箱はもう何年も使っていない。こっそり様子をうかがうと、
 夫はそのリンゴ箱の上にじっと座って目を閉じていた。


 (略)


 一家の団らんなどというものはなくなっていた。


 夫の神経は張り詰めたままだ。
 家族と一緒にいるときも、心はそこにない。

 いつも何か別のことを考えていて、食事中もほとんど
 喋らなかった。
 口を開くのは、誰かを叱りつけるときくらいのものだ。


 何が夫の気に障るのか誰にもわからない。
 なるべく刺激しないように、腫れ物に触るように接する
 しかなかった。


 幼い娘たちも、父親に甘えようとはしなかった。


               「奇跡のリンゴ」p.97~98
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■こうして、あらゆる辛酸を舐めた木村さんの
 無農薬のリンゴの木に、

 ついにリンゴの花が咲き、
 立派なリンゴの実がたわわに実ります。

 それも、ただ実っただけではありません。

 こうして収穫されたリンゴは、なんと、
 腐らなかったというのです。


■東京・白金台にある
 「半年先まで予約でいっぱいのレストラン」では、
 その看板メニューのひとつとして

 「木村さんのりんごのスープ」

 というものを出しているそうですが、

 そのレストランを取材した人が、
 こう証言しています。


 「厨房で、2年前から保存されている2つに割った
  りんごを目にしました。

  通常、りんごは切ったまま置いておくと、すぐに茶色く
  変色し、やがては腐ってしまいます。

  しかし、木村さんのりんごは腐ることなく、まるで
  『枯れた』ように小さくしぼんでいました。

  そして、赤い色をほのかに残したまま、お菓子のような
  甘い香りを放っていたのです」


■さらに、ある事件によって、
 このリンゴにはとてつもない生命力が宿っていることが
 判明します。

 1991年の秋、青森県を台風が直撃し、
 リンゴ農家は壊滅的な被害をうけました。

 大半のリンゴが落果しただけでなく、リンゴの木そのものが
 倒されるところが続出。

 県内のリンゴの損害額だけでも742億円にのぼったと
 いいます。


■ところが、木村さんの畑では、

 ほかの畑からリンゴの木が吹き飛ばされてきたほどの
 風を受けたにもかかわらず、

 8割以上のリンゴの果実が枝に残り、
 リンゴの木は揺るぎもしなかったというのです。


■コーヒー馬鹿に引き続いて、一人の「リンゴ馬鹿」を
 ご紹介しました。

 果たして自分がこのレベルまで到達できるかどうか、

 は別として、

 少なくとも、自分の専門性について、
 こだわりのベクトルは同じ方向に向かっているのか、

 自問してみてもいいのではないでしょうか。


 【今日のお勧め本  奇跡のリンゴ
                         ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録】

           石川 拓治 (著), NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班 
                                                               幻冬舎


 【今日のピークパフォーマンス方程式】                ■無農薬のリンゴをつくることは不可能といわれながら、        そのありえないはずのリンゴをつくってしまった男がいた。      そのために彼はいかなる艱難辛苦もいとわなかった。        ■そして実ったリンゴは、ただ実ったのではない。           切って2年放置しても腐らなかった。                台風がきて他の農家が軒並み壊滅的被害をうけたなか、        8割以上のリンゴは枝についたままだった。            ■不可能を可能にした先には驚くべき世界が広がっている        ようだ。                             できるできないはともかく、その世界を目指す姿勢で         いたい。                         

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