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2009号 パリに行っても観光しない人


■一杯のコーヒーに、生涯をそそぎ込んだ。

 そういっても過言ではない、
 標(しめぎ)さんという人物がいました。

 この本には、その生涯がしるされています。


 【今日のお勧め本  コーヒーの鬼がゆく ―吉祥寺「もか」遺聞】

                               嶋中 労 (著)  中央公論新社


■この標(しめぎ)さんという人が
 いかにコーヒーという世界でこだわり通したか、

 先日から、少しずつご紹介しておりますが、

 今日、お話しするのは、
 この本のなかでも特に驚かされた逸話です。


■標(しめぎ)さんは、舌の基準をつくるため、
 北は北海道から南は九州まで、
 全国各地の有名なコーヒー店をまわったそうです。


 といっても、数日、ないし1週間とか長期の休暇をとって
 優雅な旅行、
 といったおもむきは全くありませんでした。

 休みは「月に1日」だったため、

 休みの前日に店を閉めてから夜行で繰り出し、
 コーヒー店まわりをした当日も夜行で帰ってくる、

 という強行軍だったとか。


■それだけではありません。

 新婚旅行もコーヒー店めぐりだったといいます。

 それも、はじめは新婚旅行自体、行く気がなかった
 のですが、親から

 「おまえはどこまで親に恥をかかせるつもりなんだ。
  一泊でもいいから行ってこい!」

 と叱られ、しぶしぶ出かけたというのですから...。


■その後、標(しめぎ)さんのコーヒー店めぐりは
 国内だけでなく、舞台は海外にも移ります。

 訪れた国、なんと40ヵ国以上。

 ヨーロッパではカフェめぐり、アジア、アフリカでは
 産地をめぐり、

 パリに至っては10数回も行っておりながら、

 「観光をまったくしなかった」

 そうです。


■ルーブル美術館も知らなければ、オペラ座、
 ヴェルサイユ宮殿に近づくこともしない。

 めぐり歩いたのは、ただカフェばかりで、他のものには
 目もくれなかったというからすごい。


■しかも、標(しめぎ)さんは健康な体では
 なかったのです。

 慢性の腰痛に悩まされていたため、コルセットを巻いて、

 朝早くから、暗くなるまで、
 路地裏のそのまた路地裏まで探索したといいます。

 場合によっては、痛み止めの座薬を用いたとも。


■さらに標(しめぎ)さんが行く先は、安全なところ
 ばかりではありませんでした。

 なにしろ地元の人でさえ知らないような場所へも
 出没するため、

 ヨーロッパならまだいいのですが、
 中東やアフリカ、中南米では時々ややこしいことが
 起こり、

 「よくぞご無事で」

 といいたくなるような危険な目にもあったし、

 「もはやこれまで」

 と覚悟を決めたときもあったそうです。


■そして、そんな目にあっても、翌日にはまた
 危険地帯をウロウロ。

 しまいには、1回目の旅行から同行している
 通訳兼ツアーコンダクターの人から

 「あんたはクレージーだよ!」

 と面と向かって言われたとか。


■私たちも、自分の関わる世界で
 これほどのこだわりを目指したい......

 と、今日の話は断言がはばかられるような気が
 しないでもないですが(笑)、

 とにかく、自分の打ち込む世界にここまで
 こだわった人がいたことを知っておくのも
 悪いことではないでしょう。


 【今日のお勧め本  コーヒーの鬼がゆく ―吉祥寺「もか」遺聞】

                               嶋中 労 (著)  中央公論新社


 【今日のお勧め本  コーヒーに憑かれた男たち】

                               嶋中 労 (著)  中央公論新社


 【今日のピークパフォーマンス方程式】                ■コーヒーの世界をきわめるために、外国を40ヵ国も          まわりながら一度も観光をしなかった男がいる。           それも、持病の腰痛があったためコルセットを巻いて         朝から晩まで歩きまわり、ときには地元の人さえ           近づかない危険地帯にも出没したという。             ■自分は、おのれの世界をきわめるために、そこまでやる        覚悟があるだろうか。                       現実にやるやらないは別として、パリに10回以上訪問し、       観光を一切せず、仕事の研究だけで帰ってこれるか          自問してもいいだろう。                  

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